僕らは暮れていく夜を消費した

好きだった人に貸したままのCDがある。
人に何かを貸すときはもうあげてもいいつもりで貸すからいいんだけど、大好きなCDだしまたどこかで手に入るようなものではないからちょっと悲しい。
千尋さんがやっているミスローカルクライマーズというバンドのCDなんだけど、わたしはあのCDに入った曲が本当に大好きで、でもパソコンに入れたり何かにダビングしたりすることなくそのままCDを貸してしまったからわたしの手元には何も残ってなくて。どうせまたすぐ会うだろうからそのとき返してもらえばいいや、と思っていたらそのままもう会うことがなくなってしまった。会うことには会うんだけど、もう前みたいに約束をして会うことはなくなってしまった。
そうしてわたしはうろ覚えのままの歌詞とサウンドをたまに口ずさむ。
問いかけた言葉はあっけなく闇に吸い込まれて消えた