夢はまぼろしだと言うけれど

物語が終わってしまった後はどんなに楽しくても気持ち良くても美しくても頭のすみっこがものすごく寂しくて、子ども心にもそんな気持ちは存在していたみたいでピンクとブルーが魔法でクルクルと入れかわるオーロラ姫のドレスを永遠に眺めていたいと何百回もビデオテープを再生していたことをありありと覚えている。あのビデオが本当に好きだった。

ビデオなら何度でも再生できるし同じ風景をずっと記録していてくれるけど人間のアタマはそこまで賢くない。だからこそ生まれる幸せや美しさが山ほどあるのはわかっているけれどわたしはいつも何かが終わるたびに頭のすみっこが寂しくてしょうがない。
でもそんなこと言ったってオーロラ姫だって一生ああしてクルクルと踊っていられるわけじゃないしわたしも王子の世話と公務で忙しいからアンタのわがままになんて付き合ってられないわよ、って私に冷たく怒るかもしれない。なんてことを考えたらちょっと楽しかった。恋が僕らが生きるのをやめさせない、っていう好きな歌を思い出す。安全日だけど気を付けろ!世界は危険でいっぱいだ!変なところで心配性で「車に轢かれるのが怖くて出歩けないんだ」みたいなことをよく考えてる気がする。全てのページは誰かにめくられるだろうし、全ての車はアメリカの乱暴な映画の中で爆発するかもしれない。センチメンタルな恋はどうしようもなく破綻していくしアートスクールもついに活動休止した。始まってもない恋に一喜一憂したり興味がないなんて嘘をついてみたり。
つまり何が言いたいのかよくわからなくなってきたけれどエレクトリカルパレードが終わっても生きていかなきゃいけないのが現実で、必ず終わる派手なパレードもあんまりこっちを見てくれないキャラクターたちも理不尽な雨天中止もつまらない月曜日も全部受け入れなきゃいけない。
そういうものをまとめて全部包み込めるでっかい器とか肉まんの外がわのやつみたいな何かがほしいのかも。うん。なんかちょっと近づいた。ああ眠りたい。朝が来た。不規則な生活を反省しつつお昼ごろにはちゃんと地獄のように苦しむことを予測しておやすみ。夢で逢えたらきっと現実でも会える。